05 1984 大阪 堂島ダイビル 先駆けとなる空中権設定による
初のホテル建設

Win-Win関係を導いた空中権設定

堂島でのプロジェクトとは、ダイビルが堂島浜に所有する土地に高級都市ホテルを建設し、それを全日空エンタプライズに一括賃貸しようというプロジェクトであった。そこで問題だったのが、高層化しようにも法的な建築許容量が足らず、ホテル側が求める規模の建築ができないことだった。そこで検討されたのが、隣接するクラブ関西との間で空中権を設定することだったのである。そのあたりの事情を当時の新聞は次のように紹介する。

「クラブ関西の一帯は、大阪市が都市計画法にもとづいて高層建築の延べ面積を敷地面積の6倍までと制限しており、ビルの高さも限られてくる。同ホテルの敷地は約4600平方メートルで、敷地いっぱい建てるとすると6階のビルしか建てられない。しかし隣接するクラブハウスの敷地1600平方メートルと合わせるとさらに高層にすることができる。そこでクラブハウスを2階建てに抑え、3階以上建てることができる権利をホテル側に貸すわけだ」(1983年9月10日付読売新聞)

クラブ関西側でも老朽化したクラブハウスの改装資金を求めており、この空中権設定によってそれが確保できる。より高層の建物を望むホテル側と改装資金を求めるクラブ側、この両者の間にWin-Win関係を導き出したのが空中権設定にほかならなかった。