10 2015 大阪 新ダイビル 旧・新ダイビルの理念を継承し
環境共生ビルとして誕生

徹底したBCP対策

恵まれた立地を最大限に生かす建て替え計画を進めていた2011(平成23)年3月、衝撃的な出来事が発生する。東日本大震災である。津波によって町や集落が一気にさらわれる情景は人々の記憶に深く刻まれた。一方で震災は経済にも大きな影響を及ぼす。サプライチェーンが寸断され、被災した地域以外の企業も事業継続に苦しんだのである。そのためこの災害はBCP(事業継続計画)の重要性を知らしめることになったが、ダイビルにおいても例外ではなかった。むろん阪神・淡路大震災を経験しているダイビルはBCPに継続的に取り組んできていたのだが、東日本大震災を機にさらなるBCP対策の強化に力を入れていくことになる。新・新ダイビルはそうした時期に建て替え計画が進んでいたことから、より徹底したBCP対策が実施されることになったのである。

  • 新・新ダイビルの発電機室

構造に地震時の揺れを軽減するオイルダンパーを配置した制振構造を採用したほか、非常用発電機を設置し、オフィスに自然換気システムを導入した。この非常用発電機の稼働時間は関西でもトップクラスの72時間とし、停電時でも防災設備や照明、トイレなどの主要設備ならびに貸室に一定量の電力を供給することを可能にした。また、自然換気システムにより、空調停止時でも外気を取り入れることができるようになった。

発生が高い確率で予測されている南海トラフ巨大地震に備え、防潮柵を設けたほか、受変電設備・熱源設備・非常用発電機を地上3階部分に設置し、上下水道の途絶時にもトイレの使用を可能にする緊急排水槽も設置した。

新・新ダイビルは災害に強いだけではなく、災害からの復興を可能な限り支援していくという点でも先駆的となったのである。