10 2015 大阪 新ダイビル 旧・新ダイビルの理念を継承し
環境共生ビルとして誕生

テーマとしたのは価値の継承

大阪堂島川沿いに1958(昭和33)年に南館、1963年に北館が完工して以来、新ダイビルは堂島を代表するランドマークビルとして広く親しまれてきた。なかでも北館は屋上樹苑を設けた先駆的なビルとして知られたが、これは当時ダイビル社長であった工藤友惠の自然を護ることに対する強い信念から実現した取り組みであった。完工からおよそ半世紀がたち、一部老朽化が進み、高い安全性と快適性、環境性を保つためにも最新の技術成果を取り入れ、競争力を維持していく必要があることから建て替え計画が動き出したのは2010年代に入ってからである。

  • 堂島川沿いに建つ旧・新ダイビル

建て替えにあたってテーマとして設定されたのは、堂島川沿いという恵まれた立地を生かすこと、そして旧・新ダイビルが持っていた希少な価値を継承していくという2つである。第一の恵まれた立地を生かすことは、ある意味当然であり、他のダイビルの建て替えでも同じ方針が貫かれてきた。事実、本件の設計計画では、「堂島川沿いに伸びやかに大庇が積層する環境親和型ランドマークビル」をコンセプトとして「環境負荷を軽減する石貼りの力強い大庇の存在感をアピールした外観計画」「川沿いに水平方向に展開する豊かな眺望に呼応する横連窓のデザイン」「堂島川に対して伸びやかに開いた旧ビルの横基調イメージを継承」が追求された。