12 2019 北海道 ダイビルPIVOT 地方中核都市への初めての進出を
札幌で果たす

地方中核都市・札幌への着目

ダイビルは大阪で創業した後、すぐに東京への進出を果たし、以来わが国における2大経済圏で事業を展開してきた。両経済圏で積極的にオフィスビルの建築を進め、市場の開拓を図ってきたが、さらなる飛躍のためには関西と関東以外の、いわゆる地方中核都市での事業展開が求められるようになっていた。2大経済圏での成長を目指す一方で、地方中核都市への進出により事業エリアのさらなる拡大を図り、新たな飛躍を目指す。2018(平成30)年4月に策定された中期経営計画「“Design100”プロジェクトPhase-Ⅱ」における「投資対象の拡充」の中で地方中核都市が盛り込まれたのは、ダイビルの2大経済圏での市場深耕を図りつつ、両圏を超えて事業エリアの拡大を目指すという狙いからであった。

では、どこに進出すべきか。候補となったのは、札幌や仙台、名古屋、広島、福岡といういずれもそれぞれの地域を代表する中核都市であった。早速、人口や経済規模、将来性、投資実現性といった観点から調査・検討を開始し、最終的に北海道の札幌を進出先として選んだ。北海道の中核都市として経済や人口の集中度合いが他の都市と比べて高いことや観光資源に恵まれた北海道の玄関口であること、北海道新幹線の延伸や札幌オリンピック誘致など将来性が期待できるイベントが予定されていることなどが理由であった。さらに親会社の商船三井が大洗~苫小牧フェリーに新造船を投入しているなど、北海道への親和性が高いことも考慮された。

ただ、すんなりと札幌が選ばれたわけではなかった。各都市を調査したのだが、やはり東京や大阪と比べると市場規模が小さいことによる投資リスクが大きく、物件の選定がきわめて難しいことがわかってきたからである。札幌も例外ではなく、本社では投資をためらう声も少なくなかったが、札幌の可能性を信じ、進出を強く主張する声もあったことから最終的に札幌への進出が認められることになった。ただ、札幌ではダイビルが得意としてきたオフィスビルではなく中心地における商業ビルの買収と運営というプランが選択された。