07 2000 大阪 梅田ダイビル 超高層密集街区・梅田で
大規模複合開発プロジェクトを推進

超高密度の克服に向けて

西梅田の旧国鉄コンテナヤード跡地で始まった本プロジェクトで最大の課題は、超高層密集街区での建設だったことである。設計を担当した日建設計によれば、「道路を挟んで高さ190mのハービス・オオサカが建ち、東側には100mのオフィスビルが2棟と60mのホテルが1棟といったように約2.6haに800%の容積を有する高層建物が並び立つ」という状況だった。大阪市内で超高層ビル街区と言えば、中央区城見の大阪ビジネスパーク(OBP)が思い浮かぶが、そこの基準容積率が400%だったことを考えれば、その密集度がけた外れだったということがわかるだろう。

  • ハービスOSAKAから見た建設中の梅田ダイビル

したがって設計では「超高密度を克服し、大規模複合開発ならではの魅力ある都市空間をいかにして実現するか」が最大のテーマとならざるを得なかった。ビルが密集するのは仕方ないが、そこを訪れた人々に密集感・圧迫感を感じさせてはならない、そのための設計プランが求められたのである。

「言うは易く行うは難し」の格言通り、試行錯誤を繰り返す悶々とした日が続く中、解決のヒントになったのは梅田ダイビルの位置であった。設計担当者の回想によれば、「東ブロックを含めて約200mの長さとなる南側のメインストリートのほぼ中央に梅田ダイビルが位置していたことがヒントになりました。街区の中央で梅田ダイビルの1階部分を大きく持ち上げて抜くことができれば、街区全体に奥行き感が生まれるのではないか、と考えたのです」。こうして誕生したのが、1階に天井高15mの大きなピロティを確保した設計プランであった。これなら人々が歩きながら、息苦しさを覚えることもないだろうが、このプランが議論を呼ぶことになった。エントランスをピロティにするということは1階に貸しスペースをつくらないことを意味する。それは営業政策にも大きな影響を与えることになるからである。しかし、最終的にダイビルが選択したのは、大ピロティ案であった。これをきっかけに立体的で都市的な歩行環境をダイナミックな都市空間とともにつくりだすことに成功したのだった。

完成した梅田ダイビルは建設地の前面道路の下に通る全長600mの地下プロムナード「ガーデンアベニュー」と直結し、これを通じて阪神・梅田駅、地下鉄四つ橋線・西梅田駅、地下鉄御堂筋線・梅田駅、地下鉄谷町線・東梅田駅、阪急・梅田駅とつながった。さらに大阪中心部を横断するJR東西線が開通することで大阪市でも最高レベルの好立地を実現することになった。