11 2007 海外 海外事業 初めての海外事業展開への挑戦

相互信頼と長期的視点という一致点

  • サイゴン・タワーのエレベーターホール

入札では価格以外の条件も判断材料になるとはいえ、価格面で競合相手に大きく負けては交渉の席に座れない。ダイビルでは契約していたファイナンシャルアドバイザーの助言も受けながら一番札を取る意気込みで、思い切った値段で応札したが、売主はまだ安いと言う。結果的にさらに上積みをして成約することができたのだが、後で判明したことでは、それでもダイビルは一番札ではなかったという。相手は最初からダイビルに売りたかったのである。その理由は「テナントとの相互信頼を大事に長期的視点で経営する」という事業方針が互いに一致したことにあった。「売却を目的に買うファンドのような相手には売りたくなかった」というのが売主側の本音だった。その後、海外初案件であることから慎重を期すダイビル側弁護士とそれに過度に反応する売手側弁護士とで契約交渉は難航したが、なんとか先に進めることができたのも、売手・買手相互の信頼と、取引を成就させようという熱意があったからだと関係者は振り返る。サイゴン・タワーはベトナムで初の日系不動産会社が所有するオフィスビルとなった。

ビル運営にあたっては、現地スタッフがオーナーチェンジに関して大変に協力的であった幸運にも恵まれ、日越スタッフ間でコミュニケーションを重ね、施設管理、テナント対応などにおいてダイビルならではのサービス提供に向けた体制を構築していった。現在も当ビルはホーチミン市屈指のAグレードビルとして認知されている。