12 2019 北海道 ダイビルPIVOT 地方中核都市への初めての進出を
札幌で果たす

動き出した再開発事業

こうして始まった札幌での貸ビル事業だが、2021(令和3)年になって新たな動きが浮上してきた。札幌市中心街における再開発事業である。

ダイビルはその経営理念を実現すべく、札幌ではデベロッパーとして地区の再開発を主導していくという道を選んだ。ダイビルは三越やパルコをはじめとする周辺地権者と連携し、札幌市の課題と地権者のニーズを把握した上で、幹事会社として札幌市に対し地区計画提案を実施し、札幌市議会承認を経て、条例化までこぎつけた。札幌市の中で飛び抜けて可能性の高い地区における再開発構想であり、実際のまちづくりにあたっては次の5つが基本方針として確認された。

  • ダイビルPIVOT南館

  1. にぎわいが連続する街並みをつくる
    建物低層部(地下~地上2階)の通りに面する部分には、店舗などのにぎわいを創出する機能を配置する
  2. 地区にふさわしくない機能を抑制する
    路面の価値を守るため、遊技場(パチンコ店など)と共同住宅は原則として新規立地させない
  3. まちなかの共用空間を充実させる
    来街者に豊かな時間を提供し、まちの集客装置となる共用空間(まちのリビング)を充実する
  4. 中通りを魅力的にする
    中通りに対して、にぎわいが生れるよう、隣接する建築物と道路の境界部のしつらえを工夫する
  5. 地上・地下の歩行環境を快適にする
    地下鉄コンコースや地下街との地下接続を工夫し、エレべーターやエスカレーターなどの地上と地下を円滑につなぐことで立体的な回遊動線を創出する

ダイビルではこうした方針に合わせ、2022年5月に「ダイビルPIVOT」「ダイビルPIVOT西館」「ダイビルPIVOT南館」の閉館を決定した。2023年5月に「ダイビルPIVOT」および「ダイビルPIVOT西館」を、同年10月に「ダイビルPIVOT南館」を閉館した。再開発の着工は最短で2024年春、完了は2027年初旬を予定している。

ダイビルにおける初の地方中核都市への進出先となった札幌だが、北海道という地区特有の風土やビジネス環境に合わせた事業展開を進め、地域に根づき、地域の方々に支持され、喜んでもらえる再開発を行うことで、「ビルを造り、街を創り、時代を拓く」という経営理念の実現に挑んでいる。