10 2015 大阪 新ダイビル 旧・新ダイビルの理念を継承し
環境共生ビルとして誕生

杜と呼ぶにふさわしい緑地として

新・新ダイビルは2015(平成27)年3月に完工し、敷地内に堂島の杜も整備され、ここに「新ダイビル」としての姿を現した。高度に都市化された中之島エリアにおいて、有数の規模を持つ緑地が誕生したが、堂島の杜はこれで完成したわけではなかった。旧・新ダイビルの屋上樹苑が継続的な維持管理によって生育されてきたように、堂島の杜においても維持管理していくという役割が求められた。かつてと同じく杜が杜であり続けられるように、緑地を大切に育てていくこと――それが新ダイビルに与えられた新たなミッションとなった。

  • 移設された羊の彫刻

果たしてそれは、十分に機能してきたのかどうか。2021(令和3)年に報告された「新ダイビル堂島の杜 生物モニタリング調査報告書」がその答えを明らかにしている。堂島の杜において鳥類、昆虫類、その他の生物がどのような生態を示しているのかを調査したものだが、その結果、生息が待望されていたシジュウカラをはじめメジロ、キジバト、アオスジアゲハが確認され、植食性・雑食性・肉食系などさまざまな食性の昆虫類も確認された。多種多様な生物が生態系ピラミッドに近い状態になりつつあることが判明したのである。

堂島の杜を含む新ダイビルは公益財団法人日本生態系協会による「JHEP認証」において、西日本初となる最高ランク「AAA」を取得するなど生物多様性の保全でも高い評価を得たが、新ダイビルの本当の価値はむしろ、評価にふさわしい生態系をその後も維持し続けていることにある。

なお、旧・新ダイビルの4階に配置されていた2頭の羊の彫刻は敷地の四隅に移設され、新たに新ダイビルの顔として再生された。