08 2005 東京 秋葉原ダイビル 秋葉原で世界的なIT拠点づくりの
一翼を担う

産学連携など求められた4つの機能

世界的なIT拠点を目指すとした本プロジェクトでは4つの機能を満たすことを求められた。すなわち「産学連携機能」「集客等機能」「情報ネットワーク機能」「オフィス機能」である。それらが複合的に発揮されることで「消費の街」から「創造・生産・消費の街」へと発展させようというのが本プロジェクトの目的であり、中でも強く求められたのが産学連携機能であった。情報技術分野の最先端の研究者や開発者、技術者が集結し、ITを中心とした産学連携を進めることで既存の産業を再生させ、さらにリードできるような「産業の創出と再生」を目指すとされた。そのハブ拠点としての役割を担うことになったのが秋葉原ダイビルと秋葉原UDXであった。

  • 自然光を取り入れたコンベンションホール

とりわけダイビルが手がけた秋葉原ダイビルは産学連携をはじめとする4つの機能すべてを担うことが期待されていたため、設計にあたってはオフィスビルとしての機能に加え、コンベンションホールを確保し、広々と大きなガラス面から降り注ぐ自然光と相まって、高い集客機能も可能な空間づくりを進めた。5階にカンファレンスフロアと産学交流ゾーン、6階以上をオフィススペースとしたが、オフィスの面ではダイビル創立以来の長い伝統と蓄積したノウハウを十分に発揮し、先進性・利便性・信頼性を兼ね備えたインテリジェント空間を目指した。

そして何より充実を図ったのがIT環境である。1・2階には無線LANを敷設し、ユビキタス環境を実現、基本インフラをIP(インターネットプロトコル)化した。むろん万が一の災害などに遭遇した場合でも安定的にITインフラを維持するため、非常用発電機を設置し、停電時でも貸室に25VA/m2分の電力供給が可能な体制とした。さらに雷などによる高調波・高周波ノイズが原因のコンピューター誤動作を防止するため、構造躯体を利用した雷保護システムであるファラデーアースを採用した。