01 1925 大阪 ダイビル本館 先駆的な取り組みによる
本格的貸ビルを実現

貸ビルのパイオニアとなったダイビル本館

1924(大正13)年4月に地鎮祭を執り行ったダイビル本館は翌1925年9月に完工し、その姿を現した。全体的に簡素な造りではあったが、一方で放胆な意匠や自由な彫塑を配するなど美観にも配慮し、「実用価値においても、経済価値においても、傑出しており、しかも芸術的な価値も極めて高い」との評価がなされた。大阪におけるオフィスビルの典型・先駆となり、東の丸ビルに対し、西のダイビルを強く印象づけることとなった。

渡辺節は完工後に「欧米諸国に比し百歩を譲る吾国の貸事務所中に白眉の存在を示し、総ての点に代表的ビルディングの貫録を以て独り国際水準にまで到達し、経営上にもまた稀なる成功を収めた大阪ビルディング」とのコメントを残している。当社にとって大いなる出発点となったダイビル本館だが、建築家渡辺節にとっても自らの建築家としてのキャリアを画する代表作となった。