
第4章 拡充期
1989
2003
第1節 新都市空間の創造
8 梅田ダイビルの完工
1996(平成8)年2月29日、日本国有鉄道清算事業団が所有する旧国鉄大阪貨物駅跡地約2.6ヘクタールのうち西側部の土地約1万5701m2(4750坪)の建物提案方式による入札に対し、当社は共同入札者3社1団体とともに参加し、4528m2(1370坪)を落札した。同地は西梅田地区再開発事業(オオサカ・ガーデン・シティ)の中核をなし、経済、情報、文化などの機能を強化して国際都市大阪にふさわしい都市環境を形成することを目的としていた。共同入札者はホテルモントレのマルイト、健康保険組合連合会(現医療法人伯鳳会グループ)大阪中央病院、共同でオフィスビルを建設する安田生命保険(現明治安田生命保険)・大成建設のグループで、当社は区画の中心に位置する好適地を取得することができた。
続いて、鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)・地上23階・地下3階のオフィスビルを建築する計画を明らかにし、設計・監理は日建設計、施工は大林組、鹿島建設、竹中工務店、錢高組による共同事業体との間で工事請負契約を締結した。
設計の特徴としたのは、①1階に天井高15mの吹き抜けを設け、オフィス空間の柱を少なくする、②2階はスーパーフレーム構造とし、張間約50mの橋げた並みの鉄骨で上階を支える、③オフィス空間は天井高3m、床は30cmのフリーアクセスフロアを採用するなど、ゆとりと快適性を徹底して追求した。外観は大阪きっての超高層ビル群という立地の中でも存在感が際立つ全面ガラス張りの高層ビルとした。
施工面では以前は運河だったという軟弱地盤であり、さらに隣接する4棟のビルが地下で接続されていて、しかも地上と地下を同時に施工する逆打工法を採用したため工程管理には神経を使った。
1997年9月の起工式からおよそ2年8カ月後の2000年5月に完工した。前面道路の下に続く全長600mの地下プロムナード「ガーデンアベニュー」と地下1階で直結させ、これにより阪神・梅田駅、地下鉄四つ橋線・西梅田駅に雨の日も傘をさすことなく往来することが可能となった。
1997年4月から大阪市内の主要ビジネス地区を中心にテナント誘致活動を開始し、完工時にはキヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)やコンパック・コンピュータ(現ヒューレット・パッカード)などで満室稼働を迎えることができた。
なお、正面エントランス脇に設置されたモニュメント「ドラゴン」は米国のアーティストであるケネス・スネルソンの作品であり、大ピロティの開放感を損なうことなく、清潔で軽快、ダイナミックな造形から、梅田ダイビルのイメージにふさわしいとして評判を呼び、第12回の大阪市都市環境アメニティの表彰を受けた。
物件概要 | 梅田ダイビル |
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所在地 | 大阪市北区梅田3-3-10 |
竣工年月 | 2000(平成12)年5月 |
構造 | 鉄骨造 一部鉄骨鉄筋コンクリート造 |
規模 | 地上23階、地下3階 |
敷地面積 | 4,528m2(1,370坪) |
延床面積 | 42,363m2(12,815坪) |
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1923 1944 草創期
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第2節 ビル事業開始
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第4節 戦時下での事業展開
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1945 1957 復興期
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第2節 ビル建設の再開
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1958 1988 発展期
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第2節 M&Aによる事業拡大
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第3節 企業体質の強化
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1989 2003 拡充期
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第2節 CIの導入と社名の変更
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第3節 災害対応とリスクマネジメント
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2004 2023 変革期
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第3節 海外での事業展開
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第4節 企業体質のさらなる強化とグループの再編