第4章 拡充期

1989

→

2003

第1節 新都市空間の創造

1 バブル経済とダイビル

1980年代後半、円高への対応と景気浮揚のために実施された超低金利政策を主因として、かつてない株価と地価の高騰が続き、後に「バブル経済」と呼ばれる超活況期が到来した。日経平均株価は1989(平成元)年12月末に3万8000円を超え、地価もこれまでに類のない上昇を示した。首都圏では1986(昭和61)年から1987年の2年間で住宅地の公示地価が2倍以上となった。東京都区部では3倍近い上昇をみせ、大阪や名古屋圏にも派生していった。しかし、政府による金融引締め策と土地融資関連の総量規制が始まると資産価格は一挙に反落に転じ、バブルは崩壊した。株価の急落や大都市圏を中心とする土地価格の大幅な下落もあり、以降、わが国は長期にわたる不況に苦しむことになった。

ほとんどの企業がバブル経済の崩壊に苦しむなかで、当社はバブル期において過熱気味の不動産市場に対し冷静な姿勢を堅持し、過大な投資を控えたため、バブル崩壊の影響を最小限に抑えることができた。

バブル崩壊以降、当社は投資を東京に集中させる方針を掲げ、新築物件のみならず既存物件の取得および大規模リニューアルを実施していくことになる。