
第4章 拡充期
1989
2003
第1節 新都市空間の創造
10 新宿ダイビルと芝ダイビルの取得
1990年代初頭、過剰な不動産投資に走った事業会社がバブル経済の崩壊により、次々と事業不振に陥り、大量の不良債権が発生した。不良債権処理問題が大きな課題となるなか、外資系ファンドが競って日本市場に乗り込み、不良債権のバルク買いが始まっていた。当社はバブル崩壊を機に首都圏に投資を集中させるとの方針を掲げ、新築物件のみならず既存物件の取得に乗り出した。
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芝ダイビル
その一環として2000(平成12)年2月に取得したのがJR新宿駅東口に建つ「新宿アルタ館」であった。商業施設の立地としては超一等地であり、当時の人気テレビ番組であった「笑っていいとも!」の収録スタジオが入居していることで知られ、若者をターゲットとした店が数多く入居し、カジュアルファッションやグッズの発信基地となっていた。この取得により、東京地区における不動産賃貸部門が拡大し、賃貸物件の多様化を図ることができること、また既存建物の長期のリースバック契約であるため、空室リスクが少なく、直ちにキャッシュフローが発生することが取得の理由となった。当社にとって東京における初めての商業施設であり、三越(現三越伊勢丹ホールディングス)との相対取引により取得した後、「新宿ダイビル」と改称し、引き続き三越に一括賃貸した。
2001年2月には東京・芝、JR田町駅から徒歩5分という好立地にある「夏目商事本社ビル」を夏目商事から取得し、「芝ダイビル」と改称した。前年の新宿ダイビルに続く既存の賃貸物件の取得であり、東京に投資を重点的に行うとの経営方針に基づく決定であった。夏目商事は特別清算中であり、不良債権処理の一環として本社ビルの売却を進めていたもので、日本電気という一流テナントが入居し、賃料が近隣の相場と比較してもまずまずの利回りが期待できること、1989年に完工した高仕様・新耐震ビルであり、また比較的投資しやすい価格であったことが決め手となった。入札は約30社が応札する状況となったが、競合相手の動向を把握する情報収集力と適正な評価により落札することができた。取得後は、引き続き日本電気に一括賃貸した。
物件概要 | 新宿ダイビル |
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所在地 | 東京都新宿区新宿3-24-3 |
竣工年月 | 1980(昭和55)年4月 |
構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
規模 | 地上8階、地下3階 |
敷地面積 | 1,283m2(388坪) |
延床面積 | 11,255m2(3,405坪) |
物件概要 | 芝ダイビル |
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所在地 | 東京都港区芝5-21-6 |
竣工年月 | 1989(平成元)年6月 |
構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
規模 | 地上10階、地下1階、屋階付 |
敷地面積 | 2,047m2(619坪) |
延床面積 | 10,833m2(3,277坪) |
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1923 1944 草創期
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第2節 ビル事業開始
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第4節 戦時下での事業展開
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1945 1957 復興期
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第2節 ビル建設の再開
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1958 1988 発展期
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第2節 M&Aによる事業拡大
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第3節 企業体質の強化
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1989 2003 拡充期
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第2節 CIの導入と社名の変更
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第3節 災害対応とリスクマネジメント
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2004 2023 変革期
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第3節 海外での事業展開
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第4節 企業体質のさらなる強化とグループの再編