
第1章 草創期
1923
1944
第3節 東京進出
2 1号館の開館と東京支店の設置
東京都心に姿を現した日比谷ダイビルは鉄筋コンクリート造、地上8階、地下1階、軒高31mで延床面積は1万1042m2(3340坪)の威容を誇った。内部設計にはエレベーター、階段、湯沸室、便所などを中央部に集中して配置する、いわゆるセンターコアシステムを採用した。
外装は1階の正面回りは古間石、他の3面は人造ブロック積み、2階以上はダイビル特有の渋い焦げ茶のスクラッチレンガ張りとし、近世ロマネスク風を加味した。
1階正面の左右壁面には大国貞蔵による青銅の女神像と勇士像を配し、さらに軒蛇腹と7階窓台には国産テラコッタを使用した数々の飾り獣面や鬼面を装着して芸術色を漂わせるなど大阪ビルヂングと同じようにビルとしての格調を演出した。
内部の諸設備も大阪ビルヂングの実績を踏まえ、工夫をこらした改良が加えられた設備を使用するなど首都における一流の立地にふさわしいビルとなった。
1927(昭和2)年8月1日、日比谷ダイビル1号館は開館したが、おりしも昭和恐慌の真っただ中にあり、厳しい経済環境下での出発となった。メインテナントは大阪商船であったが、そのほか住友銀行、大阪海上火災保険(現三井住友海上火災保険)、日本電力、大阪陶業など大阪に拠点を置く企業が入居した。異色テナントとしては出版社の文藝春秋社とレインボーグリルが入居し、それに伴い文壇や政財界、マスコミ関係者が多く出入りした。
日比谷ダイビル1号館には開館と同時に当社の東京支店を設置した。
同館は1986年に建て替えられるまで、「お面のビルディング」として都民に長く親しまれた。
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1923 1944 草創期
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第2節 ビル事業開始
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第4節 戦時下での事業展開
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1945 1957 復興期
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第2節 ビル建設の再開
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1958 1988 発展期
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第2節 M&Aによる事業拡大
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第3節 企業体質の強化
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1989 2003 拡充期
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第2節 CIの導入と社名の変更
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第3節 災害対応とリスクマネジメント
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2004 2023 変革期
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第3節 海外での事業展開
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第4節 企業体質のさらなる強化とグループの再編