
第5章 変革期
2004
2023
第3節 海外での事業展開
2 豪州での事業展開
2018年度を初年度とする中期経営計画「“Design100”プロジェクトPhase-Ⅱ」において、5年間で総額1200億円を投資するとし、うち400億円を海外に充当するとした。それに基づき、不動産マーケットの透明性が高く流動性があり、今後も安定した人口増と経済成長が見込める豪州のシドニーに着目し、プロジェクトを進めた。2018(平成30)年8月、豪州ゼネコン大手であるJohn Holland Group(JHG)との間でシドニー中心地区にあるオフィス開発プロジェクト(275 George Street)に関する契約を締結した。JHGから土地を取得し、当該地区におけるオフィスビル開発業務をJHGに委託するというスキームであり、取得するオフィスビルはシドニー中心業務地区における主要駅の一つであるWynyard駅に近い高品質のビルであった。シドニーの中心業務地区ではGeorge Streetの上にライトレール(路面電車)を建設中であり、周辺にはさまざまな再開発事業が予定され、将来性が高いとされていた。提携先のJHGは65年以上の歴史を持ち、非住宅部門の建設契約請負高で同国内4位の有数のゼネコンであった。
建設工事は2019(令和元)年6月から始まり、途中森林火災による煙害や新型コロナウイルス感染症の影響に悩まされたが、2020年12月に無事に完工した。
地元シドニー産のサンドストーン(砂岩)とガラスを組み合わせた外装は歴史的建造物と現代的なビルが混在するシドニーの街並みに溶け込みつつ、印象的なイメージを放つ。貸室は無柱空間とし、東・西・北の3方向から自然光が降り注ぐ開放的な空間とした。また最上階の15階にはテラスおよびメザニン(中2階)があり、シドニーのランドマーク「ハーバーブリッジ」を臨むことができる。
同ビルは豪州における代表的なビル環境性能認証2指標(いずれも6段階評価)のうち、完工時には「GreenStar(デザイン・仕様ベース)」で「5スター」を取得し、さらに2022年8月には、建設仕様に基づき評価する「Design & As Built」指標においても「5スター(Australian excellence)」を獲得した。エネルギー効率に関わるNABERS Energy(1年間の運用実績ベース)でも「5スター」の取得を目指している。
なお、ビル全体のマネジメントは当社が2019年12月に開設した現地法人ダイビル・オーストラリア(Daibiru Australia Pty Ltd/DAU)が担当し、豪州におけるビル運営ノウハウの蓄積を図っている。シドニーはベトナムのホーチミン市、ハノイ市に続く第3の海外拠点となった。
物件概要 | 275 George Street |
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所在地 | 275 George Street, Sydney, NSW, Australia |
竣工年月 | 2020(令和2)年12月 |
規模 | 地上15階、地下3階 |
敷地面積 | 634m2(192坪) |
貸床面積 | 7,298m2(2,208坪) |
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1923 1944 草創期
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第2節 ビル事業開始
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第4節 戦時下での事業展開
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1945 1957 復興期
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第2節 ビル建設の再開
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1958 1988 発展期
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第2節 M&Aによる事業拡大
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第3節 企業体質の強化
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1989 2003 拡充期
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第2節 CIの導入と社名の変更
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第3節 災害対応とリスクマネジメント
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2004 2023 変革期
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第3節 海外での事業展開
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第4節 企業体質のさらなる強化とグループの再編