
第3章 発展期
1958
1988
第1節 ビル事業の拡大
3 新ダイビル北館の完工
1961(昭和36)年4月20日、かねてより計画していた新ダイビル北館の建設に着手した。3年前に開業していた南館と同様に設計・監理を村野・森建築事務所に委嘱し、施工は大林組とした。ところが同年9月に襲来した第2室戸台風によって浸水被害を受けたこと、さらに同年10月13日、政府が国際収支改善策の一環として不要不急のビル建築抑制の方針を出したため、工事は遅延を余儀なくされた。抑制への協力を求められたわけだが、当社としてはそのまま従うことはできなかったため、建築続行認可の申請書を出した結果、やむを得ないと判断され、続行が決定した。
こうして建築が再開された新ダイビル北館は1963年10月25日に完工をみた。主体構造は鉄骨鉄筋コンクリート造の耐震耐火構造で、地上9階、地下4階、塔屋4階、地表からの深さ17m、軒高31m、塔屋の高さ43mであった。延床面積は5万3967m2(1万6325坪)で、先に完工していた南館と合わせると8万1629m2(2万4693坪)という全容となった。
外装や内装は南館に準じたが、1階回りのショーウインドー型の大ガラス窓は第2室戸台風での教訓から防潮対策として厚さ12mmの2枚併せ強化ガラスとし、同時に南館1階回りも同様の仕様とした。さらに北館の地下階に1万1495m2(3477坪)の延床面積を有する大駐車場を設置したのは英断であった。
新ダイビルには日本最初の試みとして屋上樹苑を設置した。ビル屋上に面積約3300m2(約1000坪)の庭園を設け、およそ4300本の樹木と1100本の草本類が植えられた。
開業後は当時、相次ぐオフィスビルの新築によって供給過剰が続いていたため、開業5カ月後の1964年3月末には80.6%の入居率を示したが、満足のいく結果ではなかった。
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1923 1944 草創期
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第2節 ビル事業開始
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第4節 戦時下での事業展開
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1945 1957 復興期
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第2節 ビル建設の再開
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1958 1988 発展期
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第2節 M&Aによる事業拡大
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第3節 企業体質の強化
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1989 2003 拡充期
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第2節 CIの導入と社名の変更
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第3節 災害対応とリスクマネジメント
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2004 2023 変革期
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第3節 海外での事業展開
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第4節 企業体質のさらなる強化とグループの再編